『終われなかった恋の話』あらすじ
プロカメラマンの壬生了平は、後輩の結婚式で泥酔し、目覚めると温泉宿にいました。
そこは、10年ぶりに再会する親友・筒美佑が継いだ宿でした。
壬生がスランプ中であることを知った筒美が、彼を連れてきたのです。学生時代、酔った勢いで初夜を迎えようとしたものの失敗し、その後音信不通になっていた二人。
再会した筒美は、気まずさを感じさせずに壬生に微笑みます。その姿に違和感を覚えつつも、まだ筒美を好きだと自覚した壬生は、今度こそ筒美との恋をやり直そうとしますが……。
『終われなかった恋の話』レビュー
この作品を読んで、まず感じたのは、二人の関係性のリアルさと切なさです。
学生時代の失敗から10年もの間、連絡を取らずに過ごしてきた二人が再会し、過去の感情と向き合う姿は胸に迫るものがあります。
特に、筒美が壬生に対して抱いていた嫉妬や劣等感といった負の感情が描かれており、人間関係の複雑さを感じさせられました。
それでも、壬生が筒美の全てを受け入れようとする姿勢には、大きな愛を感じました。
また、作中の情景描写やキャラクターの表情がとても繊細で、美しい絵柄が物語の雰囲気を一層引き立てています。
特に、初夜のシーンの描写は濃厚でありながらも品があり、二人の感情の高まりが伝わってきました。
読者からのレビューでも、「お互いがキラキラした恋心を持っているだけではなく、一方は後ろめたさだったり、一方は妬みだったりを内側に抱えてて、でも、そんな相手が持つ負の感情までをも包み込もうとする大きな愛の話であり、綺麗事だけでは語れない現実に近い話」と評価されています。
また、「学生時代からの終わらせられなかった恋が紆余曲折経て成就するお話が好きな人にはぜひ、オススメです!」との声もあり、再会愛や長年の片思いがテーマの作品が好きな方には特に響く内容となっています。
全体的に、過去の失敗や感情のもつれを乗り越えて再び愛を育む二人の姿に、読後感の良さを感じました。リアルな人間関係や感情の描写が光る作品で、多くの方に読んでいただきたい一冊です。